Writer
やまうち しょうご
株式会社デジタルフォワード代表取締役/DXコンサルタント。旅行代理店からIT業界へ転身。Booking.com(外資IT)、アクセンチュア(外資コンサル)、CYDAS(日系IT)、フリーランスPMでの実務経験を経て株式会社デジタルフォワードを設立。業務改善・ツール導入・自動化支援を展開。伴走型コンサルとして中小企業を支援。英日バイリンガルでの対応も可能で、研修講師や戦略立案支援も行う。沖縄県在住。
こんにちは、山内です。
「DX」「クラウド」「ペーパーレス」…
ニュースや取引先からそんな横文字を聞くたびに、
「うちの会社も何とかしないと時代に取り残されるのでは?」
と、見えないプレッシャーを感じていませんか?
しかし、いざ重い腰を上げて「IT化」と検索してみても、画面に並ぶのは呪文のような専門用語ばかり。
IT業者に相談すれば、「これからの時代は業務の一元管理が必要です」と数百万円のシステムを提案され、そっとカタログを閉じてしまった経験があるかもしれません。
もしあなたが今、そんな焦りと息苦しさを抱えているなら、どうか安心してください。
これまで「ITに苦手意識を持つ経営者」の方々と向き合ってきた経験から断言します。
今、あなたの会社に必要なのは、会社を丸ごと変えるような「高額な最新システム」ではありません。
本当に必要なのは、毎月末の請求書づくりで夜遅くまで残業している時間や、「あの書類、どこいった?」と探し回っている時間など、今、現場が一番イライラしている「目の前の痛み」を1つだけ消すための「痛み止め」です。
この記事では、難しいIT用語は一切使いません。
「何がわからないかが、わからない」というモヤモヤから抜け出し、予算0円で明日からすぐ始められる「失敗しないIT化の第一歩」をお伝えします。
まずは深呼吸をして、パソコンの電源を入れる前に、この記事を数分だけ読んでみてください。
IT業者から「これからはDX(ディーエックス)の時代です!」と言われて、焦ったことはありませんか?
実は、多くの方が「IT化」と「DX」を混同したまま、高額なシステムを買って失敗しています。
中学生でもわかるように、料理で例えてみましょう。
IT化
今まで切れない包丁で時間をかけて切っていた玉ねぎを、「よく切れる新しい包丁」に変えて、作業を少しラクにすること。
DX(デジタルトランスフォーメーション)
メニューそのものを変えて「全自動調理器」を導入し、料理人の働き方やお店の売り方までガラッと変えてしまうこと。
「玉ねぎを切るのが少し面倒だな」と悩んでいるだけなのに、業者に言われるがまま数百万円の全自動調理器(DX)を買ってしまう。
ボタンが多すぎて誰も使いこなせず、結局ホコリをかぶる。
これが、IT化で失敗する一番の原因です。

最初から全自動調理器を買う必要はありません。
会社全体を一度にシステム化しようとすると、必ず現場が混乱します。
あなたが目指すべきなのは、「毎月末の請求書づくりで深夜まで帰れない」といった、今、一番痛いトゲを1つだけ抜くことです。それだけで、IT化は9割成功したと言っても過言ではありません。
難しい業務分析は一切不要です。
まずは、あなたの会社の日常にある「イラッとする瞬間」や「ため息」を探してみてください。
☐ 「あの書類、どこいった?」と、1日1回以上探している
☐ 現場からの手書きのメモを、事務員がわざわざパソコンに打ち直している
☐ 「言った、言わない」の連絡トラブルが月に1回は起きている
☐ 社長自身が事務作業に追われ、本来の仕事(営業や現場)に出られない
チェックはいくつ付きましたか?
ここで大切なのは、「全部を一気に解決しようとしないこと」です。
チェックがついた中から、一番時間がかかっているもの、あるいは一番社員がイライラしているものを「たった1つ」だけ選んでください。
それが、あなたの会社が最初に手をつけるべき「IT化の入り口」です。

ここで、私が相談に乗る中で、何度も目にしてきた「悲劇の経験」をお話しさせてください。
ITに詳しくないからといって、「よくわからないから、プロ(業者)に全部お任せします」と丸投げするのは絶対にNGです。
【事例】業者にすべてお任せしてシステムを作ってもらった。
結果: いざ完成してみると、自社の業務に合わず全く使い物にならない。
悲劇: 「ここを少し直してほしい」と頼むと、「それは仕様変更(最初の約束と違う)なので、追加で100万円かかります」と言われてしまう。
思い当たる方もいるのではないでしょうか。
中身がどうなっているか自社で誰もわからない状態(ブラックボックス化)になると、業者の言いなりになるしかありません。
家を建てる時に、「どんな家に住みたいか」を大工さんに伝えないままお任せしたら、絶対に理想の家は建ちませんよね。
IT化も同じです。
「自分たちが何をラクにしたいのか」を、あなた自身の言葉でしっかり定義することが、大損を防ぐ最大の鉄則です。
プロとして正直にお伝えします。以下の3つの状態に当てはまる場合は、今すぐシステムを入れるのはストップしてください。
散らかった部屋に最新のお掃除ロボットを入れても、迷子になるだけです。
まずは「誰が・何を・どうやっているか」のルールを整理(片付け)する方が先決です。
ツールを入れるだけで人間関係が良くなる魔法はありません。
「面倒な作業を入れて監視されるのでは」と現場の反発を生むだけです。
他の人が飲んでいる胃薬を、頭痛持ちのあなたが飲んでも効きません。
自社の「痛み」に向き合っていないIT化は必ず失敗します。

「じゃあ、結局何から始めればいいの?」という方へ。
新しいソフトを買う必要はありません。
今すぐできる第一歩をご紹介します。
新しいチャットツールを入れる前に、まずは社員全員が使い慣れているLINEで「業務連絡専用グループ」を作ってみてください。
これだけで「言った・言わない」の電話トラブルが激減します。
これも立派なIT化です。
現場からの手書き報告書や、会議のホワイトボード。
わざわざパソコンに打ち直していませんか?
まずは「スマホで写真を撮って、LINEで送る」
というルールにしてみてください。
これだけで、入力の手間も紙を保管するスペースも削減できます。
読者の皆様も「これなら明日からできそう!」と思いませんか?
今日、現場の社員に「一番面倒くさい作業は何?」と聞いてみましょう
IT化の第一歩は、パソコンを開いてシステムを探すことではありません。
今日、現場の社員さんにコーヒーでも淹れてあげながら、
「今、うちの仕事で一番面倒くさい作業って何かな?」と聞いてみることです。
あなたの会社を良くできるのは、最新のITツールではなく、現場の痛みを理解しようとする「あなたのその一歩」なのです。
まずは、その一歩を踏み出してみましょう!
A. 「インターネット上の貸し倉庫」と「定額レンタルサービス」のことです。
クラウド
自分のパソコンの中ではなく、インターネット上の「安全な貸し倉庫」にデータを預ける仕組みです。
スマホが壊れても、新しいスマホにすぐ写真が戻ってくるのはクラウドのおかげです。
SaaS(サース)
ソフトを買い取るのではなく、月額数千円で「レンタルして使う」サービスのことです。Netflix(ネットフリックス)などの動画見放題サービスもSaaSの一種です。
A. メリットは「時間の余裕」、デメリットは「最初の少しの労力」です。
メリット
単純作業から解放され、お客様と向き合う時間や、社員が早く帰って家族と過ごす「時間」が生まれます。
デメリット
新しいやり方に慣れるまでの最初の数週間だけ、少しだけ労力がかかります。だからこそ、みんなが使いやすい「簡単なもの」から始めることが重要です。
A. はい、小規模な企業様こそ使えるチャンスがたくさんあります!
国も中小企業のIT化を応援しており、数十万円のシステムでも費用の半分〜3/4が戻ってくるケースがあります。
ただし、申請には少しコツがいるため、まずは「どの痛みを消したいか」を決めてから、「うちでも使えそうか?」と相談してみるのがおすすめです。