Writer
やまうち しょうご
株式会社デジタルフォワード代表取締役/DXコンサルタント。旅行代理店からIT業界へ転身。Booking.com(外資IT)、アクセンチュア(外資コンサル)、CYDAS(日系IT)、フリーランスPMでの実務経験を経て株式会社デジタルフォワードを設立。業務改善・ツール導入・自動化支援を展開。伴走型コンサルとして中小企業を支援。英日バイリンガルでの対応も可能で、研修講師や戦略立案支援も行う。沖縄県在住。
こんにちは。株式会社デジタルフォワードの山内です。
先日、「ステーブルコイン」に関する記事で、決済手数料が安くなるかもしれないという“期待”について書きました。DX支援者として、新しい技術にワクワクしているのは事実です。
しかし、その一方で。 私の中のもう一人の私、一人の消費者、一人の県民としての私が、こう叫んでいるのも聞こえます。 「正直、また“どのペイがお得か”を探す、あの面倒くさい日々が始まるのか…」と。
今日は、そんな私の素直な“うんざり感”と、ビジネスの現実について、コラムとしてお話しさせてください。
この記事で分かること
あの「PayPay100億円あげちゃうキャンペーン」の日々を、皆さんも覚えているでしょうか。 「20%還元!」の文字に踊らされ、赤字覚悟の無料キャンペーンが乱立し、消費者は大移動。私たち加盟店側も「無料なら」と、レジ横に次々と新しいQRコードを並べていきました。
そして、どうなったか。
体力が尽きた“負け組”が静かに撤退していくのを“勝ち組”が見届けた後、ある日、静かに「加盟店手数料の改定(=値上げ)」が発表されました。 これがビジネスの定石であり、私たちが何度も見てきた「資本主義の憂き目」です。
先日、ステーブルコインの解説記事でも触れましたが、この新しいデジタル通貨は「国が作る統一コイン」ではありません。 国の「ルール」のもとで、許可を得た複数の「民間企業」(銀行や信託銀行など)が、それぞれ発行するものです。
これが何を意味するか? そうです。「A銀行コイン」「B信託コイン」「C資金移動業者コイン」といった、新しいプレイヤーによる、新しい「シェアの奪い合い」が始まるのです。
私たちは、また「どのコインが一番お得か」を追いかけ、お店は「どのコインの手数料が一番安いか」を比較検討する日々がやってくる可能性が非常に高い、と私は見ています。
このシェア争奪戦が、もし極限まで進んだらどうなるでしょうか。 少し前に話題になった、中国の「フードデリバリー戦争」が、その一つの未来を示しています。
過度な価格競争と手数料合戦の結果、プラットフォーム企業は莫大な赤字を出し、そのしわ寄せは、最終的に「配達員の過酷な労働」や「飲食店の薄すぎる利益」という形で、現場で働く人々を疲弊させました。 結局、プラットフォームの上で踊らされているのは、いつも私たち中小企業や消費者なのかもしれない、とさえ思えてきます。
ここまで、かなり皮肉な見方をしてきました。 ステーブルコインの未来も、おそらくはPayPayが歩んだ道と同じように、激しい消耗戦の末に「勝ち組」が手数料を引き上げる、というお馴染みの歴史を繰り返すでしょう。
それでも、です。 それでも私たちが、この新しい技術に「淡い期待」を抱くとしたら、それはただ一点。
ステーブルコインの根幹技術である「ブロックチェーン」が、従来の決済システムよりも、根本的にインフラの維持費が安い可能性がある、ということです。
もし、それが本当なら。 将来、競争の末に引き上げられた“手数料の新常識”が、今のクレジットカード(3〜4%)やPayPay(1.5%〜)よりは、いくらかマシな世界(例えば0.5%とか)になっているかもしれない…。
「また面倒なのが始まった」とため息をつきつつも、そんな未来に少しだけ期待してしまうのも、また人情ですよね。
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